過去に戻って
会いたい人がいる。
でも状況は変わらない。
それでも行く価値はあるのか?
コーヒーが冷めないうちにはサンマーク出版の川口俊和さんの作品で2015年に発売されましたが、これがデビュー作だそうです。
評判が広がり2017年には本屋大賞にノミネートされ、55万部以上のベストセラーになりました。
作者の川口俊和さんは普段舞台の脚本家・演出家として活躍されているそうで・・・。
「コーヒーが冷めないうちに」の舞台を見に来ていた編集者の人がとても感動したらしく、ぜひ小説にしたいと言う願いから出版化が実現したそうです。
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サイト管理人のMira.Buleと申します。
2018年9月に有村架純さん主演で映画化されました。
過去に戻れると噂の喫茶店に来た4人の女性が、過去に戻って会いたい人と再会していくお話ですが、4つの短編で構成されています。
人生で後悔することはたくさんあります。
できるなら戻って変えたいと願いますが、この作品では過去を変える力はありません。
変えることができませんが、もしそんな喫茶店があったらあなたは行きたいと思いますか?そんな登場人物それぞれの想いや事情を詳しく見ていきましょう。
今回は以下のような内容でご紹介しています。
コーヒーが冷めないうちに喫茶店に通う人々
コーヒーが冷めないうちに喫茶店から過去へ
コーヒーが冷めないうちに喫茶店から未来へ
個人的な本の感想そして作品の内容を詳しく書いています。
あくまでも参考程度にご覧ください。
この記事の目次
コーヒーが冷めないうちに喫茶店に通う人々
秘密がある喫茶店。
人は噂を聞いて訪れるが、
結局最後は諦める。
コーヒーが冷めないうちに喫茶店の不思議
物語の舞台である喫茶店フニクリフニクラですが、見た感じはいたって普通です。
ただ一つ他と違う点はある席に座ると望む時間に行くことができるという・・・噂があります。
その噂を聞いて大勢の人が過去に戻りたいと願い、喫茶店に訪れますがなかなか実現した人はいません。
なぜならいくつもの面倒なルールをクリアしないと過去に戻ることができないからです。
喫茶店には今日も噂を聞きつけて訳ありの女性たちが訪れています。
1人目は・・・
結婚を考えていた彼氏とある理由で別れてしまい後悔をしている女性が一人。
2人目は・・・
旦那がアルツハイマーになる前に渡しそびれていた手紙を受け取りたいと願う女性が一人。
3人目は・・・
最後は会わずにそのまま妹が事故で死んでしまいきちんと向き合えなかったことを後悔する女性が一人。
4人目は・・・
子供を産むと決めたけど自分の命が助からないかもしれないという状況でどうしても未来の自分の娘に会いたいと願う女性。
それぞれみんな軽い理由で過去や未来に戻りたいと願っているわけではありません。
面倒なルールがあってもそれでもいきたい事情があったのです。
ではそのルールとはどんなものなんでしょうか?
コーヒーが冷めないうちにルールの存在
その席に座るとその席に座っている間だけ望んだ通りの時間に移動ができますが、そのためには守らなくてはならないルールが5つあります。
1、過去に戻っても喫茶店を訪れたことのない人には会うことができない
2、過去に戻ってどんな努力をしても現在は変わらない
3、過去に戻れる席には先客がいてその先客が席を立った時だけ座れる
4、過去に戻っても席を立って移動する事は出来ない
5、過去に戻れるのはコーヒーをカップに注いでから冷めてしまうまでの間だけ
そして喫茶店フニクリフニクラでウエイトレスをしている時田数が淹れたコーヒーだけが人を過去に戻すことができます。
このルールを見てやっぱりやめようと思う人は正直多いかもしれません。
コーヒーが冷めないうちに喫茶店から過去へ
過去に戻って変えるためには、
今現在の自分を
受け入れることが必要である。
コーヒーが冷めないうちにルールは絶対?
ルールをもし守れないと、どうなるのでしょうか?
1つ目は、
まず相手がこの喫茶店に訪れていること条件なので、来たことのない人には会うことができません。
この時点で条件に合う人は限られます。
そして2つ目は、
どれだけ努力をしても現実は変わらないということ・・・戻っても後悔したことを変えられないのなら意味があるのかなと思ってしまいます。
あと3つ目は、
「過去に戻れる席に先客がいてその先客が立ったときだけ」ですが、一体どうゆう意味でしょうか?
これには実は深い訳かあります。
後ほど詳しく説明しますね。
4つ目は、
「席を移動できない」というのは、椅子から移動したり腰を浮かせるだけでも元の世界に戻るそうです。
動きたい気持ちをグッと抑えて時間を過ごすのはなかなか根気がいりますね。
5つ目の時間の制限は、
コーヒーが冷めてしまうと自分が幽霊になってしまうそうです。
これ・・・怖いですね。
感情的になって時間を忘れそうです。
ではなぜルールはあるのでしょうか?
それは・・やっぱり過去や未来、時間の移動にはリスクがあるということです。
そしてそのリスクを冒してでも行きたい・・そういう人のためにルールを設けたんだと思います。
コーヒーが冷めないうちにで出てくる謎の女性
3つ目の先客の意味なんですが、寒い時期でもなぜか白いワンピースを着ている謎の女です。
この女性実は・・・幽霊なんです!
その席に座るためには1日1回彼女がトイレに行く時だけしかチャンスがありません。
つまり過去に戻れることは限りなく少ないので、もし無理やり席を奪ったとしたら?実はこれを実践した人がいました。
1人目の女性、二美子がワンピースの女を強引に席から離れさせようと引っ張ったときです。
突然彼女がカッと目を見開き二美子を睨みつけました。
そして体が急に重くなったような感覚に襲われます。
店内の照明は暗くなり亡霊のうめくような不気味な声が聞こえてきました。
二美子は身動きが全くとれず焦っていると時田数がこう言います。
「呪いです」
非常に怖い現象ですね・・。
ではやっぱり1日1回のチャンスを待つしか方法がないのでしょうか?
3人目の女性八絵子も二美子のように呪いをかけられますが、どうにか解けて元に戻ります。
そこで時田数にどうしても席に座りたいと助けを求めます。
すると
「事情はわかりました。」
と言い少し考えた後、
ワンピースの女に
「コーヒーはいかがですか?」
と声をかけます。
それを彼女は飲み干し、またコーヒーを注いで・・・を繰り返します。
だんだんワンピースの女も飲み干すのに苦労します。
実はこれには理由がありました。
コーヒーはいかがですか?と言われると必ず、
「お願いします。」
と答えなければならないルールだったので、彼女はコーヒーを飲むしかなかったのです。
そして9杯目になった時に、ようやくワンピースの女がトイレ・・・と、突然立ち上がります。
その瞬間、席に座ることができました。
少し強引なやり方でしたが、時田数の方法で見事成功しましたね。
コーヒーが冷めないうちに喫茶店から未来へ
物語の最後は
分からないけど
きっと悲しい結末ではない。
コーヒーが冷めないうちに変わることはできた?
厳しいルールを受け入れそれでも過去へ行くことを4人の女性たちはできたのでしょうか?
1人目の女性、清川二美子は賀田多五郎という男性と付き合っていましたが、彼が仕事の都合でアメリカに行ってしまいます。
行かないで!と言えなかったことを後悔しその話をした過去へ戻ります。
二美子は加賀田になぜアメリカ行きを相談してくれなかったのか?と問うと、キャリアウーマンである彼女に気を使っていたこと、そして自分の顔には火傷の跡がありコンプレックスだったから今まで本音を話せなかったようです。
結果的には彼はアメリカに行きましたが、まだこれからの未来は全然変えられます。
2人目の女性、高竹は旦那の房木が若年性アルツハイマー型認知症を発症しているため、高竹が自分の妻であることを覚えていなかったのです。
時田数は房木が高竹に、本当は過去に戻って手紙を渡そうとしてことを話します。
そしてその手紙の内容がなんだったのか、確かめるために過去へ戻ります。
戻った時間は病気を発症する前の2年前で、夫が目の前にいました。
房木はバックの中から手紙の入った茶封筒を取り出し、どう伝えていいのかわからないけど・・・とさみしそうに言います。
彼の思いが詰まった手紙を手に過去から現在に戻ります。
手紙には夫の思いが綴られていました。その言葉は、
「記憶を失っても俺は夫婦でありたいと思うから」と・・・
房木は記憶を失ってもいつだって妻の高竹を大切に思っていたんですね。
3人目の女性、平井八絵子は老舗の旅館を継がずに家を出ていました。
そして妹の久美が若女将として働いています。
久美は忙しいなかで姉に会いに来てくれていましたが八絵子は会うのがめんどくさくなり思わず隠れてしまいます。
そのとき久美は時田計に手紙を姉に渡してほしいとお願いします。
そして久美は姉に会えないまま、喫茶店フニクリフニクラの帰り道・・・交通事故にあって亡くなってしまいました。
その後計は、久美から預かっていた手紙を渡しました。
手紙を読んだ八絵子は涙を流しました。
最後に会えなかった後悔を胸に過去に戻る決意をします。
そして3日前に戻り2人はたわいのない話をした後、八絵子は妹久美の望みだった実家に帰ることを承諾します。
すると久美は大きくうなずきながら返事をし真っ赤な顔で泣き出しこう言いました。
「お姉ちゃんと一緒に旅館をやるの夢だった・・・」
と・・これを聞き、後悔が止まらず妹の死も受け入れられない中現在に戻ることを拒みますが、時田計に促されどうにか戻ることができました。
現実を変えることはできませんが、妹の本音が聞けたことで八絵子の未来は少なくとも明るいものになるかもしれません。
コーヒーが冷めないうちに喫茶店スタッフの秘密
他の3人の女性は喫茶店に来るお客様のエピソードでしたが、4人目のお話は喫茶店の店主である時田流の妻・時田計のお話だったのです。
子供を産むと決めたけど、自分の命が助からないかもしれないという状況ですがどうしても未来の自分の娘に会いたいと願う女性です。
時田計は、生まれつき心臓が弱く入退院を繰り返していました。
そんな時交通事故で入院した流と出会います。
まだ17歳だった計は流に恋をします。
その後2人は結婚し、そしてお腹に赤ちゃんが宿ります。
しあわせなことばかりでしたが、体が弱い計には赤ちゃんを産むための体力がありませんでした。
主治医には母子ともに出産後、無事である可能性は少ないと宣告されます・・・。
それを聞いても計は子供をぜったい産むと決意します。
しかしその後体調も悪くなりだんだん不安になります。
「私はあなたを産んであげることしかできないけど、許してくれる?」
計の頬に一筋の涙が流れました。
するといつも座っているワンピースの女が席を立ち、トイレに消えていきました。
例の席が空き、計は数に
「コーヒーを淹れてくれ。」
とお願いします。
じつは例の席は未来に行くこともできます。
未来の先はもちろん喫茶店ですが、そこには時田流や数の姿はなく見知らぬ男女が居ました。
そこに一人の少女が帰ってきます。
計の顔を見ても全く反応がなく別の子かと思いましたが、突然北海道にいるという時田流の電話で彼女が自分の娘だと判明します。
生まれてくる娘と、会うはずのない母親との出会いと別れは悲しいですが、それで気持ちが変わるのなら未来は全然違うと思います。
そしてみんな過去に戻る理由が深かったです。
映画では時田数の原作ではないエピソードもあるようなので、どんな展開になるのか楽しみですね。
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以上、
「コーヒーが冷めないうちに」喫茶店にどうしても来てしまう理由でした。
このページを最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。