ようやく軌道したかもめ食堂。
フィンランド人の青年登場で、
地元の人が来るきっかけになる?
「かもめ食堂」は群ようこさんの作品で、2008年に発売されました。
もともと映画の原案として描かれた小説をベースに2006年に小林聡美さん主演で映画化されました。
そのあと原作者の群ようこさんが作品を書き下ろしたそうです。
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「かもめ食堂」小説で描かれた、サチエがフィンランドに行くまで
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サイト管理人のMira.Buleと申します。
「かもめ食堂」は最初に映画の世界観にどっぷりハマってしまい、DVDも購入して何度も見るほど大好きな作品になりましたが、原作になると登場人物の設定が細かく描かれています。
サチエのかもめ食堂にようやくはじめてきたお客さんは、日本が大好きな青年でした。
ガッチャマンの唄を全部知りたいと言う彼の要望を叶えるために、偶然知り合ったミドリに聞くと意外な答えが返ってきました。詳しく見ていきましょう。
今回は以下のような内容でご紹介しています。
かもめ食堂サチエの食堂に初めてのお客さん
かもめ食堂サチエが思う食べてほしい料理
かもめ食堂サチエとミドリを繋げた日本の曲
個人的な本の感想そして作品の内容を詳しく書いています。
あくまでも参考程度にご覧ください。
この記事の目次
かもめ食堂サチエの食堂に初めてのお客さん
サチエが進む道は、
すべて自分で決めたことだった。
迷いが無く芯が通った彼女が選んだ店の名前は・・
「かもめ食堂」
かもめ食堂と名付けたきっかけが単純だった
フィンランドのヘルシンキの街のなかにひっそり・・日本人のサチエはここで食堂を始めました。
名前はかもめ食堂。
地元の人は小柄で幼く見えるサチエを、
「子供が店をやっている。」
もちろん彼女は子供ではなく38歳になったばかりの女性でしたが、そんな噂が近所で流れお客さんが全然来ませんでした。
店の外観もまったく日本らしさは出さず、あえて地元に溶け込むような雰囲気にしていたので、商売としてはなかなか難しかったようです。
ところでなぜ、かもめ食堂という名前をつけたのか?
それはフィンランドに着き、アパートを決めて港を歩いていた時のことです。
足元をころころしたかもめが歩くのを見て、どことなくのびのびした雰囲気が自分に似ている気がしました。
「かもめ・・かもめ食堂でいきますか!」
映画では最初のシーンで港にいるかもめが登場するので、やっぱり繋がっていましたね。
サチエの決断力と強い意志でここまでスムーズにきましたが、あとはお客さんが来てくれるだけです。
そして最初に店の扉を開いたのは、ニャロメが描かれたTシャツを着た青年でした。
かもめ食堂に日本が大好きな青年が来店
サチエは初めて来てくれたお客さんに驚きますが、突然・・
「コニチハー。カ、モ、メ?」
とたどたどしい日本語で話しかけてきた彼は、日本語を少し勉強したと言いながら喋りはじめます。
コーヒーを淹れて話を聞くと彼の名前はトンミ君と言い日本のアニメーションに興味を持ったので将来お金を貯めて日本に行きたいと言います。
するとガッチャマンが好きだからと、歌を歌い始めますが、歌詞が全部わからないと嘆きます。
サチエもサビしか分からず困りますが、残念そうにする彼をみて・・
「少し時間がかかるかもしれないけど、調べて正しい歌詞を教えます。」
と言って納得してもらいました。
次の日もトンミはかもめ食堂に訪れると、それを見ていた地元の人も入りやすくなったのか、少しお客さんが来るようになります。
でも注文するのはソフトドリンクやフィンランド料理ばかりでした。
かもめ食堂サチエが思う食べてほしい料理
サチエの母が残してくれたレシピ、
そして父が想いを込めて作ってくれていたおにぎり、
これで充分日本を伝えることが出来る。
かもめ食堂の看板メニューは父との思い出
映画ではトンミが来てからもなかなかお客さんが来ませんが、原作の小説では割とすぐ地元の人がちらほら来ます。
ただなかなか日本料理を食べてもらえず苦戦します。
しかも看板料理はおにぎり・・。
トンミも日本通だからと、おかかと鮭のおにぎりを自腹で注文してくれましたが、あまり好評ではありませんでした。
でもそれでもサチエにはどうしてもこだわりたい理由があったのです。
母が亡くなって以来料理はすべてサチエがしていましたが、中学の遠足の日に父がおにぎりを作ってくれました。
すると、
「いつも自分で作って自分で食べているけど、おにぎりは人に作ってもらったのを食べるのが1番うまいんだ。」
と唐揚げや卵焼きみたいなカラフルな食材は全然入っていなかったですが、それでも父が握ってくれるおにぎりは格別でした。
それから中学の三年間、遠足と運動会は必ず父がおにぎりを作ってくれていたことが、今でも心に残っていたので国が違っても作り手の心が込めて握ればきっとわかってもらえると信じていました。
そして仕事を一所懸命するサチエのことを、うっとり見つめるトンミ・・。
ふたりはかなり年の差がありますが、これって恋心・・でしょうか?
かもめ食堂サチエを好きなフィンランド人
映画ではサチエに対するトンミの恋心は描かれていませんが、じつは原作の小説ですこし描かれていました。
サチエが忙しく働く中、トンミはよく話しかけてきます。
家族のことやどこの学校だったのかしつこく聞いてくるので、大学を出たと話すとなぜか落胆した顔をしました。
そこでいくつに見えるか聞くと・・まさかの15歳と言われます。
するとサチエは笑いながら38歳と告げると涙目で、
「キョウハサヨナラデス・・。」
と言い、店を出ました。
たしかに日本人は若く見られますが、そこまでだったとは!
驚きでしたが、早く伝えてよかったとサチエは自分に言い聞かせました。
次の日トンミはいつもより元気がなく口数も少なかったことが少し気になりましたが、それでも店に来てくれたので安心します。
そして気を使い、サチエからアニメの話をすると急に思い出したようにガッチャマンのことを言いだしました。
そうです。
約束の歌詞の全容をまだ伝えていませんでした。
かもめ食堂サチエとミドリを繋げた日本の曲
それぞれ様々な状況がある。
息苦しい中そこにいる必要はない。
自分の居場所を決めるのは、
すべて自分の心だ。
かもめ食堂異国の地で奇跡が起きる
映画でも片桐はいりさん演じるミドリとの出会いのきっかけがガッチャマンの歌でしたね。
サチエが書店にあるカフェに入ると、大柄な東洋系の女性が不安そうに座っていました。
ただ日本人か確認のしようがないので、近づいてみると日本の本を持っていたため彼女の前に突然座ります。
サチエにしては大胆な行動ですが、同じ日本人という親近感とフィンランドの土地柄がそうさせたのかもしれません。
そして・・
「ガッチャマンの歌知っていますか?」
と唐突に尋ねると、
「は?」
これがサチエとミドリが初めて交わした言葉でした。
普通なかなか歌詞がわかる人もいないと思いますが、なぜか彼女は全部知っていると言うので、
「教えてください!」
と思わず興奮して話すサチエを前に、バックから手帳とペンを取り出すとミドリはスラスラ歌詞を書きはじめました。
完璧な内容に感動していると、
「弟がファンだったので、ずっと見ていたら覚えたんです。」
なるほど・・。
と感心し、サチエはようやくなぜガッチャマンの歌詞を聞いたのか事情を話し自己紹介しました。
すると彼女も戸惑いながらサエキミドリと名乗ります。
「観光でフィンランドに来たんですか?」
と何気に聞くと首を横に振るのでなにか事情があるのかと黙っているとミドリは静かにこう言いました。
「指差しちゃったんです。」
と・・。
え?どういうこと?
かもめ食堂ミドリが日本を出るまでの経緯
映画ではミドリがなぜフィンランドに来たのかはっきりせずただ指をさしただけと話していましたが、じつは少し理由がありました。
ミドリはエスカレート式に進学し、就職も父親の知り合いから紹介された小さな会社で過ごします。
仕事も楽でおじさんばかりの会社だったので若い男性はいませんでしたが、適齢期になったらお見合いでもするのだろうとのんびりかまえていました。
ところがあっという間に年齢を重ねようやく焦りだします。
新しく社員が入るわけではなく定年で辞めていく人達を横目にこのままでは会社の滅亡は近いと案じていましたが・・その日は突然やってきました。
「長い間ご苦労さま。退職金出るからしばらくのんびりすれば?」
と働く場所を失ってしまいます。
なんの変化もないまま21年過ごしてきた後悔がいまさら押し寄せてきました。
いつも自分を見守ってくれていた両親はふたりとも老人ホームに入っていたので、兄弟や親戚が・・
「これからどうするんだ。」
と慌てはじめます。
年齢的に就職は難しいし、キャリアがあるわけではないし・・と好き勝手に言われたので思わず、
「心配しないで。
みんなに迷惑かけないから。
ちゃんと計画してることがあるから。」
と嘘をついてしまいます。
とっさにそんなことを言ってしまいどうしようかと考えていると、使う予定だったパスポートにスタンプが押されてないことを思い出します。
そうだ、せっかく作ったパスポートを利用しようと考えますが、どこに行きたいかまったく思いつきません。
そこで行き先を決めるため指を指してみたら・・偶然フィンランドだったという経緯です。
いままで人生のレールから外れたことがないミドリが初めて自分からチャレンジした瞬間でした。
映画で見るとなにか訳ありだなぁ〜と思うだけでしたが、理由を知るとよりミドリの心境が分かる人、多いのでは?と思います。
これからミドリがどう関わっていくのか楽しみですが、サチエがなぜフィンランドで食堂をすることになったのかはこちらの記事をご覧ください。
「かもめ食堂」小説で分かったサチエがフィンランドを選んだ理由
かもめ食堂が変化していく様子はこちらの記事をご覧ください。
「かもめ食堂」料理に込めた日本への想い|伝えるためにすること
fa-arrow-circle-downかもめ食堂の映画を見るfa-arrow-circle-down
以上、
「かもめ食堂」サチエがおにぎりにこだわる理由が素敵すぎる!でした。
このページを最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。